今季Jでも使用、「よく飛ぶ」W杯の新公式球


ワールドカップの公式球(19日、大阪府吹田市で)=里見研撮影

ワールドカップの公式球(19日、大阪府吹田市で)=里見研撮影

サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕(6月14日)まで2週間。

4年に1度の祭典とともに進化を続けているのがサッカーボールだ。過去の大会では勝敗の鍵も握ってきた。今大会でもドラマを演出するだろうか。

◆新球「よく飛ぶ」

「よく飛ぶし、蹴りたい場所に届いてくれる」。先月19日、パナソニックスタジアム吹田(大阪)で行われたJ1リーグのガンバ大阪―浦和レッズ戦後、浦和のゴールキーパー(GK)・西川周作選手は試合で使われたボールをたたえた。G大阪の遠藤保仁選手も「扱いやすい」と評した。

ボールは、W杯の公式球「テルスター18」。日本代表の選手らが慣れるため、今季Jリーグでも使用されている。

ボールには重さ410~450グラム、円周68~70センチなどの規定がある。サッカージャーナリストの大住良之さん(66)によると、イギリスで競技ルールが制定された1860年代は膨らませた動物の内臓を牛の革などで包んだものだった。

空気を入れる開口部を丈夫なひもで結んでおり、ヘディングの際、この部分が当たると激痛に襲われるため、ヘッドギアなどを着用する選手もいたという。

◆勝負を左右

初めてW杯が開かれた1930年のウルグアイ大会ではボールに関する規定がなく、開催国が用意。決勝はウルグアイとアルゼンチンになったが、アルゼンチンが自国製の使用を主張して譲らず、前後半で両国のボールを使い分けることに。アルゼンチン製だった前半は同国が2対1でリードしたが、ボールが代わった後半にウルグアイが3点を奪い、初代王者となった。

70年メキシコ大会では、白黒テレビできれいに見せるため、革の色そのままに茶色だったボールが初めて白と黒に着色された。人工皮革が初めて使われたのが、86年メキシコ大会。動物の革が持つ変形しやすさという欠点を克服した。

2010年南アフリカ大会の「ジャブラニ」は“ブレ球”で有名になった。本田圭佑選手は予選リーグのデンマーク戦で、この特性をいかした無回転シュートを決め、日本代表の決勝トーナメント進出に貢献。一方でGKには不評だった。イングランド代表GKは真正面からの何でもないシュートを後逸して失点。母国メディアの大バッシングを受けた。

テルスター18は空中でのブレが少なくなった。公式球を研究する浅井武・筑波大教授(スポーツ工学)は「表面の凹凸が増え、ゴルフボールのように安定した」と分析。開発したアディダスは「選手が蹴りたい場所に思い通りに蹴ることができるボールを目指した」と自信をのぞかせる。

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