井原正巳・元代表主将のコロンビア戦分析「意思統一が日本の勝因」

意思統一。それが日本代表の勝因だ。

先発メンバーの人選に、明確な狙いが表現されていた。香川真司がトップ下に入り、その左に乾貴士が並んだ。このコンビは、セレッソ大阪時代に組んだ経験があり、攻撃のリズムを刻んで、アクセントをつけられる。ボランチ(中盤の底の位置)には、長谷部誠とともに柴崎岳が入った。柴崎は縦パスで前にボールを運べる特徴がある。

「きょうはアグレッシブ(積極的)に戦うぞ」という西野朗監督のメッセージを、イレブンはしっかりと受け止めていたのだろう。それが、試合開始早々の先制点につながった。コロンビアが落ち着かない間にボールを奪い、最前線の大迫勇也がGKと1対1になってシュート。セーブされたが、こぼれ球を香川が拾って放ったシュートが、相手の悪質なハンドを誘って先制のPKを得た。監督の狙い通りの戦い方で、わずか6分間でリードを奪ったばかりか、一発レッドカードで相手の人数が1人減った。手ごわい相手との試合で、願ってもない展開になった。

長谷部に指示を出す西野監督(右)

ただ、これだけで勝負が決まらないのがサッカー。相手が10人になると、どうしても心に隙が出てしまう。攻め方やゲームプランも変えなくてはいけなくなる。実際、前半の日本には攻撃面で戸惑いがみられ、相手陣でのパスミスが目立った。そんなもどかしい時間帯にセットプレーから1―1に追いつかれた。前回W杯を振り返っても、日本はギリシャ戦で、前半に相手の人数が減る展開から攻めあぐねて引き分けている。難しい局面だった。

しかし、ハーフタイムで日本は、しっかりと戦い方を整理できた。

サッカーで1人少ない相手を崩す場合は、ピッチを広く使った展開で、外から攻略するのがセオリーだ。しかし、前半の日本は中へ中へと攻めようとして、ボールを失っていた。そこを修正し、サイドから崩す攻撃をチーム全体で意識しながら、「次の1点」を狙うこと。それができたから、後半は相手を押し込めた。大迫の決勝ヘッドはコーナーキック(CK)から決まったが、そのCKはサイドをうまく使った攻撃から獲得した。

大迫がヘディングシュートを決める(19日、ロシア・サランスクで)

相手のカウンター攻撃を食らわないという意識も、チーム全体に共有できていた。途中出場した相手の大エース、ハメス・ロドリゲスがヒールパスを受けて放ったシュートが最もヒヤリとした場面だったが、大迫が必死のスライディングで防いだ。原口元気や乾も体を張った守備が光った。危ないシーンは、それほど多くなかったと思う。

西野監督が交代で投入した本田圭佑が決勝アシストをして、岡崎慎司と山口蛍も守備を引き締めた。監督の采配が当たるということは、チーム全体の意思が統一されていたということだ。

開幕間近の監督交代も含めて、大会前はネガティブな見方をされがちだった、今回の日本代表。選手たちはみんな、もちろん意識していたはずで、それをパワーに変えて戦ったのは見事。会場で応援した人、テレビで見た人を含め、サポーターのパワーを勝利につなげた一戦でもあった。逆境の中、初戦で勝ち点3をもぎ取った姿は、16強入りした2010年の南アフリカW杯の時に似ている。

ただ、グループリーグはこれから2試合も強敵が続く。きょうは序盤から相手が10人だったことも忘れてはいけない。もう一度、16強入りへ気を引き締めたい。せっかく願ってもないスタートを切れたのだから、ここから大いに盛り上げてほしい。(談。聞き手=読売新聞メディア局編集部・込山駿)

プロフィル 井原正巳

いはら・まさみ 元日本代表主将、現J2福岡監督。1967年9月18日生まれ、滋賀県出身。守山高から筑波大に進み、3年時の88年に日本代表デビューした。日本の守備の要として長く活躍し、紙一重でW杯出場を逃した93年の「ドーハの悲劇」を経験。悲願のW杯初出場を果たした98年フランス大会ではキャプテンを務めた。「アジアの壁」と称賛されたDFで、国際試合122試合出場、5得点。Jリーグでは横浜M、磐田、浦和でプレーした。引退後は指導者となり、2015年から福岡を指揮している。

<<
ニュース一覧へ戻る
>>