「奇跡」の指揮官うれしい誤算、開始3分のPK

 指示を出す西野監督(右)=三浦邦彦撮影
指示を出す西野監督(右)=三浦邦彦撮影

「ポジティブ(前向き)な絵は、たくさん描ける」と口にしてきた西野監督も、さすがに開始3分のPK奪取は、「絵」になかっただろう。うれしい誤算を引き寄せるあたりが、1996年アトランタ五輪でブラジルを破る「マイアミの奇跡」に導いた指揮官らしい巡り合わせだ。

前回大会で完敗した格上のコロンビア相手にも、「中盤で主導権を握りたい」と真っ向勝負。香川がPKを奪う直前にシュートを浴びせた大迫には、「絶対に受け身にならず、最初は前から(プレスに)行こう」と伝えていた。コロンビアを10人に追い込んだ幸運は、攻めの采配があってこそだ。

口べたな指揮官は、多くを語らない。Jクラブを率いていた時も監督室に一人、こもって考えることも多かった。だから周囲には「直感型」「感性の人」などと受け取られるが、采配にはいつも根拠がある。

守備的な布陣が実った「マイアミの奇跡」を回想したことがある。「相手や自分たちの力を考えたら、そういうサッカーでないと勝ち上がれないと思った」

一転して主導権を握ろうと挑んだ今回は、「相手の長所に対応するだけでは勝負を制する確率は低い」という計算だったという。1か月足らずの練習で得られた手応えを実証するように、選手たちは14本のシュートを放ち、後半、決勝点をもぎとった。

W杯メンバー23人を決めた5月31日、コロンビアを倒すことを「小さな奇跡」と表現した。実現させた喜びもつかの間、「2戦目、3戦目も厳しい相手。自分たちの強さをいかに出せるか、追求したい」。奇跡の続きの「絵」は、もう描き始めている。(青柳庸介)

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