【リポート】ロナルド連弾も不安残るポルトガル~GL敗退にもきらりと光ったモロッコ~

1か月に及ぶワールドカップ(W杯)の熱闘が続いている。強豪国や注目国の試合ぶりを、海外サッカーの豊富な取材経験を持つライターの石川聡さんが現地からリポートする。

6月20日 グループB組
ポルトガル 1-0 モロッコ

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2年前の欧州選手権で初優勝し、今大会でも優勝候補の一角に挙げられるポルトガルだが、薄氷を踏む思いの勝利だろう。開始直後のロナルドの先制ヘッドで幸先のいいスタートを切ったものの、その後はモロッコの巧みなパスワークや個人技に押されて防戦に追われた。サントス監督は無失点で切り抜けた守りを「良かった」と評価した一方、「もっとボールを保持するようにならないと」と課題も認めた。

ロナルドは、スペインと3-3で引き分けた初戦でのハットトリック(3得点)を含め、チームの全得点を挙げて気を吐く。しかし、モロッコ戦では守勢に回る展開で前線に孤立しがちだった。サントス監督も「中盤で対等に戦えるようにしたかった」と、選手交代やポジション変更を試みたが、流れは取り戻せなかった。

ロナルド(中央)が気を吐くポルトガルだが、戦いぶりには不安も残った

開幕前の予想では、B組はスペインとポルトガルが2強で、モロッコとイランが2弱とみられていた。そのモロッコにボールを54%支配されたのだから、今後の戦いに不安が募る。25日のグループリーグ最終戦で顔を合わせるイランは、守備重視でくるとみられ、ポルトガルは攻撃の時間が長くなりそうだ。「しっかり準備する」(サントス監督)と臨むイラン戦で、決勝トーナメント進出という結果と共に、欧州王者にふさわしい内容が求められる。

一方、初戦のイラン戦に続き0-1で2連敗となったモロッコは、スペインが勝ったためにグループリーグで敗退した。開幕直前には、2026年大会の開催地争いでも、アメリカ・カナダ・メキシコの3か国共催に敗れており、成果を残せない残念な大会となったが、技術力の高いサッカーで金星に迫り、見る者を楽しませてくれた。

狭いスペースで数人が絡むプレーは絶品だった。テンポの良いパス交換で局面を切り開き、球を奪われてもすかさず囲んで取り戻して素早い攻めにつなげる。球を受ける前にかすかな体の動きで相手を惑わし、結果的にプレスを避けるといった動作もごく自然だった。

この試合の最優秀選手には、唯一の得点を挙げたポルトガルのロナルドが選ばれたが、私は、敗れたモロッコの右サイドで抜群のキープ力を発揮し、攻撃の基点になろうと奮闘したMFのN・アムラバトを、あえて推したい。

敗退が決まったモロッコだが、N・アムラバト(手前)のプレーは印象的だった(ロイター)

前回のブラジル大会では、ハリルホジッチ監督率いるアルジェリアが決勝トーナメント1回戦で、優勝したドイツと延長戦にもつれ込む接戦を演じ、1-2で惜敗した。やはり、数人のグループによる局面打開、巧みなボールさばきなどが印象に残っている。

北アフリカ勢は、こうした自分たちのサッカースタイルを確立して強国に立ち向かっている。モロッコのルナール監督は、「(今大会の)2試合で我々が(独自スタイルの)フットボールをプレーできることを示せた」と胸を張った。こうしたチームを見るのもW杯の楽しみであり、学ぶべき点も多い。

プロフィル  石川 聡

いしかわ・あきら 1956年生まれ。大学卒業後にサッカー専門誌編集部で海外サッカーを担当。その後、トヨタカップ、日本代表戦などの大会プログラム編集、執筆に携わる。W杯は1982年スペイン大会から続けて取材し、今回が10回目。過去のリポートはこちら

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