まさに不言実行のストライカー「大迫半端ない」

◆河合特派員のロシアリポート

発言小町のキャラクター「くらげっと」先輩(入社年次が先輩なのです)を連れたワールドカップ・ロシア取材が続いています。

話題の応援旗が、写真中央に!(6月19日、日本-コロンビアの試合会場で)

大迫、半端ないって――。

高校時代に大迫勇也選手と対戦した相手チームの選手の言葉が、日本で再びはやっているそうですね。ロシアにいても日本の情報に耳ざとい、くらげっと先輩が聞きつけてきた情報です。コロンビア戦の試合会場でも、決勝点となるゴールを大迫選手が決めた直後から、青いユニホームを着たサポーターたちが「大迫、半端ない」と、繰り返し絶叫していました。

大迫選手の発言が派手に報道されることは、これまで決して多くなかったと思います。それは、彼が練習後、マスコミの取材にほとんど口を開かなかったからです。

報道陣の練習取材への対応は、選手によって特徴があります。たとえば槙野智章選手。人なつっこい笑顔で、サッカーの話題に限らず、本田圭佑選手の誕生日の裏話などチーム内の笑えるエピソードも教えてくれます。乾貴士選手は、ふざけたりギャグを連発したりするわけではありませんが、話の間(ま)の取り方がたくみなうえ、真面目なことは標準語で、場を和ませる部分は関西弁という使い分けも上手です。変幻自在なリズムを刻む彼のドリブルみたいな語り口で、取材現場は笑いの絶えない明るいムードに。他の選手も、丁寧に対応してくれます。

例外が、本田選手と大迫選手です。国内合宿の時からずっと、ほとんど取材対応していません。とはいえ、本田選手の方は、たまに「きょうは応じよう」と決めている日があります。ひとたび口を開けば、「ケイスケ・ホンダ」の存在感は抜群で、独特の世界観を熱く語り続けます。さすがはプロフェッショナル――。

 

本田選手との対比も、半端ない

決勝ゴールを決めたコロンビア戦のピッチ上で両手を挙げる大迫選手

ところが、大迫選手は練習後、報道陣の前をいつも素通り。コロンビア戦前、各選手が必ず対応するように設けられた場で、ようやく口を開きましたが、何をきかれても「やるだけなんで、しゃべることないんで、それだけです」と答えてばかりでした。その表情は、あまりにも硬く、真剣そのものでした。

「話下手」や「マスコミ嫌い」という理由ではなく、取材に応じるゆとりがないのだろうという印象を受けました。だから、ある意味で「半端な」取材対応になってしまうのだろうと。4年前のブラジル大会は、出場機会があったのに無得点。ゴールの有無ばかりが大きく取り上げられるフォワードというポジションをW杯で担うことの重圧は、それこそ「半端ない」ものなのでしょう。

そんな孤高のストライカーが「不言実行」を体現したのが、コロンビア戦でした。「W杯で得点を取ることは、子どもの頃からの夢だった。この舞台で点を取れて、素直にうれしかった」と、試合後は感情を吐露する姿がありました。「どんな言葉よりもゴールで自分を証明したい」という思いが「半端ない」ほど強いからこそ決まったヘディングシュートだったのでしょう。本田選手が試合直前、報道陣に「結果にコミットする」と言い残し、大迫選手の得点をアシストした「有言実行」ぶりとの対比も鮮やかでした。

W杯の練習取材って、半端なく味わい深いね――。くらげっと先輩と、そんな会話を交わした次第です。

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