【日本戦リポート】目指すサッカー結果に~デュエルの強さも継承~

1か月に及ぶワールドカップ(W杯)の熱闘が続いている。強豪国や注目国の試合ぶりを、海外サッカーの豊富な取材経験を持つライターの石川聡さんが現地からリポートする。

6月25日 グループH組
日本2-2 セネガル

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日本が勝ち点を4に伸ばしてグループリーグ突破に前進した。11分に先制を許したが、34分にMF乾の鮮やかなシュートで同点。71分には再び引き離されたものの、交代出場のMF本田がその7分後に追いつく粘りを見せた。2戦を終えて1勝1分け。ワールドカップ(W杯)でグループリーグを勝ち抜いた過去の大会と比較すると、2002年日韓大会も同じ1勝1分けだったが、2010年南アフリカ大会の1勝1敗を上回った。

前半、同点ゴールを決め、喜ぶ乾(手前)(24日、ロシア・エカテリンブルクで)=稲垣政則撮影

先行されても浮足立つことなく、実直に自分たちのプレーを貫き、貴重な勝ち点1をもぎ取った。初戦のコロンビア戦では、開始早々に退場で相手が1人減るという状況が追い風になったとはいえ、しっかり勝ち切ったことで自信が芽生えたのだろう。リードされてもそれまで通りのプレーを続け、「オフェンシブ(攻撃的)にいくというメッセージを最後まで送り続けたい。勝ち切りたかった」という強気な西野監督の采配が本田の同点ゴールにつながった。

西野監督はことし4月の就任会見で「技術力を最大限に生かし、規律や組織力で結束して戦う強さ」を目指すと語っていた。それから大会初戦まで2カ月ほどで、準備の試合もわずか3戦。フォーメーションさえ定まっていないように見えた中で、周囲の不安が募る中での船出だった。

しかし、現時点では、短期間でしっかりチームをまとめ上げ、目指すサッカーを結果につなげた手腕は見事というしかない。失点した後でも「リズム、テンポ、個の戦いなどで自分たちの時間をつくれた」(西野監督)ことで、受け身の戦いとなったセネガルが落ち着きをなくし、強引な接触プレーで反則を取られるなど、自ら試合の流れを失った。

もちろん、日本選手たちがこの2カ月間で劇的に変貌を遂げたわけではない。前任のハリルホジッチ監督の下で培った1対1の戦い、いわゆる「デュエル」での粘りもしっかりと継承した。セネガルのシセ監督は「15番が(セネガルの)DFに大きなプレッシャーとなり、抑えることができなかった」と大迫のプレーを評価。MFの長谷部や原口らも体を張った懸命の守りを見せ、西野監督も「(体を寄せる)角度が悪くても体をつけ、自由にさせない対応」と振り返った。選手たちに監督交代の影響などなく、むしろ自分たちの成長につなげたことをピッチ上で示したともいえる。

一方で2点を失ったことも現実で、そこには常に反省材料がある。1失点目は、原口がクロスをCKに逃げていれば、生まれなかったかもしれない。相手エースのFWマネにはほとんど仕事をさせなかったとはいえ、彼にうまく周囲の選手を使われたのが2失点目である。

前半、マネ(中央)に先制ゴールを決められる(GK川島)(24日、ロシア・エカテリンブルクで)=三浦邦彦撮影

「次につながる内容、結果」(西野監督)の試合だったが、まだグループ突破が決まったわけではない。ポーランド戦では、さらに細部に注意を払いながら、勇敢に戦って16強の座をつかんでほしい。

プロフィル  石川 聡

いしかわ・あきら 1956年生まれ。大学卒業後にサッカー専門誌編集部で海外サッカーを担当。その後、トヨタカップ、日本代表戦などの大会プログラム編集、執筆に携わる。W杯は1982年スペイン大会から続けて取材し、今回が10回目。過去のリポートはこちら

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