ハリル~内戦を経験した不屈の指揮官

選手に指示を出すハリルホジッチ監督(2017年8月31日のアジア最終予選)

日本をロシアW杯へと導いたハリルホジッチ監督は、祖国ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦で人生を狂わされながらも、努力を尊び、国際的な評価を得てきた策士だ。

FWとして才能を見いだされてプロの道に進んだ中核都市モスタルで、現役引退後、カフェなどを営みながら監督業もスタートさせた。それが、1992年からの民族紛争で暗転。モスタルは川を境に街が分断され、銃を向け合う激戦地で、「何度も殺されかけ、負傷し、爆撃も受けた。フランスに逃れた直後に家が襲われ、すべてを失った。暗黒の時代だ」。

監督業を続けてきた中で、大事にしてきたのは、対戦相手の分析や作戦など準備を尽くすこと。「運に任せるような試合は一度もない」。2015年3月に日本代表監督となってからも連日、日本サッカー協会に設けられた執務室に通う。試合映像を見ては、ボードにマグネットで布陣を描き、作戦を練った。最終予選で、しぶとく勝ち点を積み上げられたのは、その采配によるところが大きい。

内戦の記憶はめったに口にしない。語る時も「サッカーのおかげで人生は素晴らしいものになった」と加える。あらがえない力に翻弄(ほんろう)されても、屈しない反骨の指揮官は、W杯でも格上にひるまないメンタリティーを日本に植え付けようとしている。

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