【ベルギー戦解説】痛烈な速攻に泣くも、時間稼ぎの批判吹き飛ばした名勝負

サッカーは甘くないと、またしても痛感させられた。

試合終了間際、ベルギーに決勝ゴールを許し、ぼう然とするGK川島(左から2人目)ら(2日、ロシア・ロストフナドヌーで)=三浦邦彦撮影

最後の最後に、ベルギーが最もやりたかったカウンター攻撃を食らってしまった。ドリブルを始めたデブルイネに対して、日本の選手が体を寄せきれず、スピードに乗らせてしまったのが、痛かった。あの時まではずっと、うまく封じ込めていたのに……。69分、狙ったシュートとは思えないヘディングで反撃の1点目が決まったところから主導権を奪い返してしまうあたりも、抜け目ない。高いレベルの戦いに慣れた欧州の強豪には、勝負どころを逃さない迫力が備わっている。

決勝点を決めたシャドリは交代で入った選手で、日本とベルギーが昨年11月に行った強化試合でもゴールをアシストしている。2-2に追いつくゴールを決めたフェライニも途中出場だ。監督の采配が見事に的中した試合でもある。

つなぎと速攻の融合、継続を

後半、先制ゴールを決める原口(2日、ロシア・ロストフナドヌーで)

日本は2点差を守りきれず、初めての8強入りを逆転負けで逃した。しかし、収穫の多い名勝負になったのは間違いない。ポーランド戦の時間稼ぎをめぐる批判など、どこかへ吹き飛ばしてしまう戦いぶりだった。

52分、追加点を奪った場面。香川真司と乾貴士が、ペナルティーエリアのすぐ外側でパスをつないだ連係に対して、ベルギーの守備陣は棒立ちで見ているだけになっていた。そこを突いて、乾が強烈なシュートを決めた。パス回しとボールさばきのうまさは、世界ランキング3位の強豪にも十分に通用した。監督交代から約3か月間で、ここまでチームの連係を深めた西野朗監督の手腕と選手たちの結束力に、敬意を表したい。

その4分前の先制ゴールは、今大会の日本の中盤で輝きを放った柴崎岳の長いスルーパスを、攻守に奮闘していた原口元気が受け、相手DFを振り切って決めた。この場面は、ハリルホジッチ前監督が植え付けてきた「縦に速いサッカー」と「デュエル(1対1の勝負)へのこだわり」がチームにしっかり根付いていると感じさせた。

つなぎと速攻を融合させた「日本らしいサッカー」。この方向性を、今後も継続していかなくてはならない。(談。聞き手=読売新聞メディア局編集部・込山駿)

プロフィル 石川聡

いしかわ・あきら 1956年生まれ。大学卒業後にサッカー専門誌編集部で海外サッカーを担当。その後、トヨタカップ、日本代表戦などの大会プログラム編集、執筆に携わる。W杯は1982年スペイン大会から続けて取材し、今回が10回目。過去のリポートはこちら

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