19歳エムバペ 主役の予感 6日から8強激突

アルゼンチン戦で相手DFのファウルを誘い、PKを得るエムバペ(左)。驚異的なスピードで今大会の主役候補となった=AP

ジダン以来の輝き?

サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会は6日、準々決勝が始まる。注目は、新時代の到来を告げる活躍をみせているフランスのFWエムバペ(パリ・サンジェルマン)だ。19歳にしてプラティニやジダンがつけた「レ・ブルー」(フランス代表の愛称)の10番を背負う新鋭は、爆発的なスピードでここまで3得点。アルゼンチンのメッシ、ポルトガルのロナルドの両雄が姿を消した大会で、世界が熱視線を注ぐ。

 

突進力で3ゴール

世代交代を鮮烈に印象づけたのが、アルゼンチンとの決勝トーナメント1回戦だ。11分、自陣センターサークル手前からドリブルを開始。1メートル78のしなやかな体で瞬時に加速し、数人を抜き去ると、ペナルティーエリア手前でもう一段ギアを上げた。たまらず手をかけたDFに倒され、先制点につながるPKを獲得した。

64分には密集でDFをかわして勝ち越し点。さらに圧巻は68分の自身2点目だ。味方のカウンターに鋭く反応して右サイドを駆け、ゴール左に蹴り込んだ。1958年大会のペレ(ブラジル)以来、W杯で1試合2得点を決めた10代の選手となり、メッシから主役の座を奪った。

母国が地元開催で優勝した98年大会の約半年後に誕生。ロイター通信などによると、地区の番号から「93」と呼ばれる貧困層が多いパリ近郊で育ち、地元クラブで競技を始めた。カメルーン出身の父はそのクラブのコーチ、アルジェリア出身の母はハンドボール選手というスポーツ一家。父が「1日24時間、常に競技に打ち込んでいた」と振り返るサッカー少年だった。

その後、98年大会優勝メンバーのアンリらを輩出したエリート養成機関に進み、14歳でフランス1部のモナコへ。昨夏に1億8000万ユーロ(約237億円)とされる巨額の移籍金でパリ・サンジェルマンに入団した。育成に定評があるフランスの最高傑作は順調にキャリアアップし、今がまさに「旬」。さらに名を上げる絶好のタイミングでロシアに乗り込み、期待にたがわぬ活躍をみせている。

ただ、「世界最高」の称号を得るには、ジダンのようにW杯制覇を成し遂げる必要があることは本人も理解している。「人々は僕が生まれた年のW杯優勝をしっかりと覚えている。これ以上の場所はない」とエムバペ。母国に20年ぶりの歓喜をもたらせるか。(崎田良介)

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