西野J終戦(下)躍進の代償、若手使えず

ベンチにも若手が少ない、平均年齢の高いチームだった

日本代表23人に2016年リオデジャネイロ五輪メンバーは4人いた。MF大島(川崎)、DF遠藤(浦和)、DF植田(鹿島)、GK中村(柏)。23~25歳と選手としてまさにこれからの彼らはしかし、誰一人としてロシアのピッチに立つことはできなかった。

「得たものはないというくらい、試合に出た、出ないで感じられることの差は大きい。何かを変えないといけない」。25歳の大島は危機感を強めた。

平均年齢が28歳を超え、W杯出場6大会で最も高い日本にとって「世代交代」は差し迫った課題だ。ハリルホジッチ前監督はMF井手口(リーズ)やFW浅野(ハノーバー)ら若手を相次いでデビューさせたが、西野監督は短期間でのチーム再構築にベテランの経験値を優先。34歳のMF長谷部(フランクフルト)、30歳のMF乾(ベティス)らが躍進の原動力になった。

結果は同じ16強でも、10年南アフリカ大会とは対照的だ。当時の岡田武史監督は大会直前、気鋭の若手だったMF本田(パチューカ)やDF長友(ガラタサライ)らを主力に抜てき。大舞台を体感した個々がその後、加速度的に成長を遂げた。チームの躍進は選手の海外移籍を後押しし、海外組が最多15人となった現代表の礎が築かれていった。

一方、今大会は若手による底上げが乏しかった。4位に入った12年ロンドン五輪メンバーで、代表の中核となることが期待されたMF清武(C大阪)が落選。「プラチナ世代」と呼ばれ、将来を嘱望された1992年生まれの選手たちも明暗が分かれた。MF柴崎(ヘタフェ)とDF昌子(鹿島)は先発をつかんだが、MF宇佐美(デュッセルドルフ)らは控えに甘んじた。

今後、代表は本格的な過渡期を迎える。そこで強化の道筋をどう描くか。西野監督が5日の記者会見で強調したのは、U―17(17歳以下)、U―20(20歳以下)代表といった育成年代への期待だった。

「代表の強化は一朝一夕にはいかない。U―17、U―20は世界で渡り合える力がある。下の年代から底上げし、どう融合するか。難しいが、考える必要がある」。今大会限りで退任する指揮官の言葉は、たどるべき航路の指針となるだろう。

長谷部が代表を引退し、本田が「最後のW杯」と区切りをつけたことに象徴されるように、10年大会から始まったサイクルは終わりを迎えた。彼らがはね返された世界の壁をいかに越えていくか。次世代には、先達が築いてきた代表の重みを背負い、未来へつないでいく覚悟が求められる。(岡田浩幸)

<<
ニュース一覧へ戻る
>>