西野J終戦(中)監督人事迷走 強化に影

ベルギー戦で指示を出す西野監督=宇那木健一撮影

「前監督が求めていた戦い方が、自然に出ていたと思う」。ベルギー戦での敗退から一夜明けた3日、カザンで練習場に現れた日本の西野監督は、さっぱりとした表情で語った。

球際でのボール争奪<デュエル>に挑み、手数をかけず仕留めるというハリルホジッチ前監督(仏、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身)が目指したスタイルは、2大会ぶりの16強入りで効果的だった。初戦、開始早々のPKは、ゴール前から縦へ2本つなぎ、FW大迫(ブレーメン)が粘った速攻から生まれた。ベルギー戦の先制点もMF柴崎(ヘタフェ)の長いスルーパスが相手の急所をついた。

コロンビア戦の金星に始まり、攻めずに他力頼みで確保した16強、そして2点リードからの大逆転負け。起伏が激しかったロシアでの日々同様、ブラジル大会の惨敗から始まったこの4年間も、日本サッカー史にない紆余(うよ)曲折だった。

2度のW杯16強という実績を買われて2014年に就任したアギーレ元監督(メキシコ)はスペインリーグ時代の八百長疑惑が発覚して1年もたたずに解任。日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長(当時)は、同じくW杯での実績を持ち「世界で戦える武器を増やしてくれる」人材としてハリルホジッチ前監督を招いた。しかし、後ろ盾だった霜田氏が協会を去った中でW杯予選突破という成果を残した前監督も今年4月、選手との信頼関係の崩れを理由に解任された。

協会関係者によると、資質を問う声は16年9月、アジア最終予選を黒星スタートした時期からあり、技術委で何度も議論されたという。その中で協会の田嶋幸三会長は予選突破の夜に続投を明言したが、本番まで約2か月で突然翻意をした。関係者からは「会長は、W杯で負けたら自分の責任問題になると考えたのではないか」「技術委員会軽視だ」などの声ももれた。

積み上げてきたものが崩れかねない事態に、西野監督は前任者の仕事を尊重しつつ微修正を加え、W杯を戦えるチームにまとめた。「うまくいかないのは監督や戦術のせいと思っていたが、覚悟を決めなければと思った」とFW岡崎(レスター)が振り返ったように、選手が危機で冷静さを失わなかった側面もあった。

「1%でも2%でもW杯で勝つ可能性を追い求めたい」(田嶋会長)として託された西野監督は16強を達成したが新しい扉は開けられず。前監督だったら惨敗だったか躍進していたかを検証するすべはない。戦いを終え、田嶋会長は「日本が培ってきた全てのものを結集できた。最終的にW杯で力が出せるかどうか(が重要)」と上機嫌で報道陣に語った。(藤基泰寛)

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