西野J終戦(上)運も味方 でも…

試合中、西野監督と乾が握手。左は大迫

終戦のピッチに座り、乾は泣いた。「多分、ハリルさん(ハリルホジッチ前監督)なら自分は選ばれていなかった。本当に悔しい」。W杯直前のパラグアイ戦で2得点してチームを活気づけ、第2戦のセネガル戦で1得点1アシスト。ベルギー戦でもゴールを決めた30歳のラッキーボーイは「23番目に選ばれた男」だった。

5月31日、都内のホテルで西野監督がW杯メンバー23人を発表。ハリルホジッチ前監督に重用され、W杯出場を決めるゴールを挙げたMF井手口(リーズ)とFW浅野(ハノーバー)をメンバーから外した理由とともに打ち明けている。「ポジションの関係もあり、乾をチョイスした」

その頃の乾は故障を抱え、最終選考だった前日のガーナ戦にも出ていない。けが人を多く抱え、「本番から逆算し、トップパフォーマンスに持っていけるかの予測」を迫られた西野監督は、乾を最後に選んだ。

香川も、しかり。5月まで約3か月間、実戦から遠ざかっていたため、指揮官の当初の構想では、本田に次ぐ2番手の司令塔だった。柴崎も、ライバルのMF大島(川崎)が負傷したことでパラグアイ戦から、中盤のかじ取り役が巡ってきた。

乾、香川、柴崎いずれのケースも、悩ましい台所事情が、賭けにも似た起用を指揮官に促し、彼らを軸にしたチームの好転へとつながった。そして最重要だった初戦では、開始3分にコロンビアが退場者を出す幸運まで呼び込んだ。

4月に就任した西野監督は、選手の自主性を求め、対話を促した。意見がまとまらない要所では、指揮官として決断。1、2戦目は、格上にも強気の采配を貫いた。短期間で攻守に一体感を高め、目標とした決勝トーナメントに進出した。

一方、3戦目のポーランド戦の終盤に攻撃を止めさせた采配は、賛否が分かれる。禍根を残すことと引き換えに、主力のコンディションを整えてベルギーに挑めたものの、最後は地力の違いを見せつけられた。

コロンビア戦後、勝利を祝うムードに長友が一石を投じている。「勝って喜んで自信を持つのは大事だけれど、実際、10人のコロンビアに苦戦しているのを冷静に判断しないといけない」

W杯4試合で勝てたのは、このコロンビア戦だけ。課題だったセットプレーからの失点は止まらなかった。ベルギー戦は、昨年11月の前回対戦時と同じように高さとパワーを生かすスタイルに屈した。

「日本サッカーは段階を踏んでいる」と語る長谷部も「8強に行くには、まだまだ足りない」と感じている。吉田も「試合の運び方に、大国とはだいぶ差がある」。誤算をプラスに変え、幸運を引き寄せても、8強への壁は、やはり高かった。(青柳庸介)

日本の6大会連続6度目のW杯挑戦が終わった。「急造」を強いられた西野ジャパンの苦闘や、ブラジル大会後の4年間の歩みを振り返り、2022年カタール大会などを見据えた日本サッカーの未来を考える。

西野ジャパンの全戦績
5月30日 0●2 ガーナ
6月8日 0●2 スイス
12日 4○2 パラグアイ(乾2、香川)
W杯ロシア大会
19日 2○1 コロンビア (香川、大迫)
24日 2△2 セネガル (乾、本田)
28日 0●1 ポーランド
7月2日 2●3 ベルギー (原口、乾)  ※カッコ内は得点者

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