ガキ大将で児童会長、長谷部「自己中心的だった」

 ベルギーに敗れ、本田の肩に手を回す長谷部(左)(2日、ロシア・ロストフナドヌーで)=宇那木健一撮影
ベルギーに敗れ、本田の肩に手を回す長谷部(左)(2日、ロシア・ロストフナドヌーで)=宇那木健一撮影

日本代表の主将、MF長谷部(フランクフルト)が代表引退を発表した。W杯3大会でキャプテンマークを巻き、スポーツの域を超えたリーダー像を示した。最後のW杯となったMF本田(パチューカ)とともに両輪でチームを動かした時代が、終わる。

主将に就いて間もない2011年夏、長谷部が、ある思い出を語ってくれた。「中学校の靴が白と決められていて、理由が分からなかった。友達と校則を変えようとしたけど、先生に却下されて……」

子供の頃はガキ大将で「自己中心的だった」そうだ。小学校で児童会長、中学ではスポーツ委員長。「ワンポイントでも色が入ったら駄目って、今でも不思議。あれは変えたかったな」。懐かしみ、「物事ははっきりさせないと気が済まない」と笑った。

主将になり、様々なものを変えた。ミーティングの方法もファンサービスのあり方も。白黒つけられない板挟みの局面に「気苦労もした」が、「チームが勝つため」を道しるべにした。小さな改革の集積が、W杯やアジア杯での激闘を生み、ファンの心を動かした。

本田の存在も、よりどころだった。日本の針路を模索する本田を発信源に、世界に挑むムードは、おのずと波及した。「主将として何もしていない」という謙遜は、本田への敬意でもある。本田が代表から遠ざかると、周辺に「不在は大きなダメージ」と漏らしていた。

「集大成のW杯」「目標はW杯優勝」などと公言して自分を追い込む本田。対して長谷部は、その類いを、めったに外部に発しない。代表引退の決意も大会前から胸に秘めていたという。「集大成」と口にせずにロシアに挑む理由を、6月の出国前、本人に尋ねたことがある。その返事は、「先を考えすぎると、甘えや緩みが出てしまう。僕は目の前の一つひとつに集中していくタイプだから」。

11年当時から「目の前の階段をクリアすれば、結果にたどり着く」と描いていたから、彼らしい言葉だ。窮屈な立場にあっても、歩みを崩さず、貫けたのだろう。代表引退の心境は、「99%の満足感と、1%の後悔」。彼のことだから、きっと永遠に満たされない1%を求めて「目の前」に向き合っていく。(青柳庸介)

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