フランスの状況一変させた、鋭い「1本のパス」


59分、フランス3点目のゴールを決め喜ぶポグバ(手前)=宇那木健一撮影

59分、フランス3点目のゴールを決め喜ぶポグバ(手前)=宇那木健一撮影

小柄な指揮官が、大柄な選手たちに次々と抱きかかえ上げられた。若く多彩な才能をデシャン監督が巧みにまとめたフランスが、20年ぶり2度目の頂点に立った。

1本のパスが状況を一変させた。1点リードとはいえ、前半のシュートはPKの1本だけで、守備に追われていた。だが、59分、自陣内のポグバが浮き球をボレーでたたくと、鋭く低い弾道が相手守備陣を切り裂いた。エムバペ、グリーズマンとつながったボールは、ゴール前に上がったポグバへ。右足シュートのはね返りを自ら左足で決め、決定的な3点目が入った。

エースとして初優勝に貢献したジダン氏の引退後、チームは迷走した。2010年大会は選手が練習をボイコットする騒ぎを起こし、グループリーグで敗退。多様な人種が融合し、理想の姿とされた「レ・ブルー」(フランス代表の愛称)は失墜した。

初優勝時の主将だったデシャン氏が12年に監督に就任すると、「グループを危険にする選手は呼ばない」と宣言。問題を起こした選手は、実力や実績があっても招集しなかった。一方で活躍した選手は褒め、失敗しても舌鋒(ぜっぽう)鋭い国内メディアから守るなど、硬軟使い分ける手法で信頼を得た。

守備的な戦術に批判も浴びた。だが、今大会で守りに奔走してきたポグバが、決勝では攻撃でもスケールの大きさを披露。若手中心の集団は、チームの決まり事を大切にしつつ、個々の持ち味も発揮できる魅惑的な姿に成長した。

平均年齢は25・6歳。デシャン監督は「若いチームは、決して諦めることのないグループだった」とうれしそうに話した。父親のようなボスを中心に、血気盛んな選手が一体となって勝ち取った戴冠(たいかん)だ。(星聡)

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