[サッカーの惑星]ロシア編(3)代表背負う「薬物」「期待」

ルジニキ競技場で行われたロシア-ブラジル戦で声援を送る観客たち(3月23日)=三浦邦彦撮影

ワールドカップ(W杯)メイン会場のルジニキ競技場(約8万人収容)は、モスクワ中心部にある。2013年末から改修され、開幕戦のロシア―サウジアラビア(6月14日)や、決勝など7試合が行われる。ロシア代表がW杯優勝候補のブラジルと3月23日に戦った国際親善試合は、6万人近くが観戦。完成後初戦だった17年11月のアルゼンチン戦で記録した7万8750人には及ばなかったが、開幕ムードは高まっている。

0―3で敗れたブラジル戦前、国際サッカー連盟(FIFA)は、ロシア代表選手に抜き打ちのドーピング検査を行った。タス通信は、検査官が1人だけで尿や血液の採取に手間取り、練習開始が1時間遅れたとし、「検査が練習を混乱させた」と報じた。

14年ソチ冬季五輪などでの組織的なドーピング不正疑惑で、2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪でも選手団の参加が認められなかったロシアが、W杯でメガイベントに正式復帰する。しかし、世界の不信感は根深い。

17年12月1日にモスクワで行われたW杯組み合わせ抽選会。W杯組織委員会会長だったビタリー・ムトコ(59)に対し、欧米メディアはドーピング疑惑を記者会見で問いただした。司会が「抽選会について質問を」と促しても集中砲火。持論をまくし立てたムトコは4日後、ソチ五輪当時のスポーツ相だったことで国際オリンピック委員会(IOC)から五輪永久追放処分を受け、W杯組織委の会長も退いた。

負のイメージを、ロシア代表は、躍進によって払拭(ふっしょく)できるのか。16年の欧州選手権で1勝もできず、監督に元代表GKのスタニスラフ・チェルチェソフ(54)が就いて再建中。しかし世界ランキングは63位と、W杯出場32チームでサウジアラビア(69位)に次いで下から2番目で、露政府系日刊紙の30代男性記者は「個々のプレーの良さが組織を高めていない。16強入りは難しい」とみる。

選手の大半は国内のプレミアリーグでプレーする。1990年代に黄金期を築き、過激なサポーターが多いことでも知られるスパルタク・モスクワは、16~17年シーズンに16年ぶりの優勝に沸いたが、今季は現在2位。代表でも大黒柱のMFデニス・グルシャコフ(31)は「リードした後にリズムを失い、主導権を渡すパターンが多い」と、もどかしいシーズンを送る。

男性記者は「国民の期待は大きい。W杯チケットを買うのは、普段からクラブを応援する真のサポーターではない。多くはサッカーの事情を知らず、ロシアが負けない存在であることを望んでいる」と解説した。

3月、英国に亡命したロシア軍情報機関の元大佐らが神経剤で襲撃された事件をきっかけにロシアと西側諸国の関係が悪化する中、FIFAが3月に発表したW杯の審判員99人にはイングランドなど英国審判は選ばれなかった。混沌(こんとん)とした中で、祭典の足音は近付いている。(敬称略)

 

◆ロシア代表チーム

旧ソ連時代を含めてW杯に過去10回出場し、最高成績は1966年イングランド大会の4位。ロシアとしては2大会連続4度目の出場となる。94年米国大会のカメルーン戦でFWオレグ・サレンコが決めた5得点は、現在も1試合個人最多ゴール記録。前回ブラジル大会は名将カペロ(イタリア)が指揮したが、グループリーグ第3戦で、現日本代表監督のハリルホジッチが率いていたアルジェリアと引き分け、グループリーグで敗退。アルジェリアが16強入りした。

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