[サッカーの惑星]セネガル編(中)有望選手 欧州へ輩出

アカデミー「ジャンバール」の学校で勉強する選手たち=藤基泰寛撮影

◆アカデミー整備 教育に力

イングランドで今季2桁得点を挙げる快足FWサディオ・マネ(26)(リバプール)、イタリアの強豪ナポリを支えるDFカリドゥ・クリバリ(26)。ワールドカップ(W杯)ロシア大会に臨む代表で、主力の多くは欧州を主戦場とする。日本と違うのは、海外志向が強いのはサッカー界だけに限らないということだ。

ダカールの北東約200キロにある地方都市ルーガ。小さな家屋や商店が並ぶ町中に突如、豪邸が並ぶ一角が現れる。フランスなど国外へ働きに出た移民の家族たちが住み、仕送りが豊かな生活を支えている。

「ここはセネガルで最も移民を出している町だ」と、現地のジャーナリスト、ハリファ・グイエ(36)は言う。「若者の働き口が少なく、唯一の解決手段が欧州へ行くことなんだ」

失業率は10%を超える中、政府も地方開発や企業支援などの対策に努めるが、歯止めがかからない。大統領府技術協力局長のパパ・ビラマ・チャム(56)は「インターネットやテレビの影響で、人々は外国に良いイメージを持っている。昔は地方からダカールに入った人々が、今は直接、国外へ流れてしまう」とため息をつく。

人材の国外流出はサッカー界も同じだが、こちらはむしろ積極的だ。2000年代に整備が進んだ有力クラブのアカデミー(育成組織)が欧州への道筋をつける。

有名なのは、マネを育てた「ジェネラシオンフット」。ダカール近郊にあるクラブはアフリカ全域から選手を集め、提携するフランス1部リーグのメス(日本代表GK川島永嗣が所属)へ有望株を送り込む。「メスが合わない場合は、他の国へ行く」と関係者。中国のクラブからもスカウトが訪れるなど、最近は注目も高まっているという。

セネガル出身の元フランス代表主将、パトリック・ビエラ(41)らが支援する名門クラブ「ジャンバール」は教育にも力をいれる。約15ヘクタールの敷地内には自前の学校があり、授業は1日6時間。選手には大学へ進んで学位を取ることも勧めるという。事務局長のマフタール・ンボウ(28)は「引退後もきちんと働いて生活できるようになってほしい」と説明する。これまで代表選手25人以上を輩出するとともに、昨年は10人以上が国外のクラブへ巣立っていった。

国内人口約1600万人に対して、国外で暮らすセネガル人は300万人以上いるとされる。その人々が様々な形で祖国を支える。(敬称略)

 

◇在外セネガル人の影響力

在セネガル日本大使館などによると、国外に居住するセネガル人が2017年に本国へ送金した総額は約2000億円に上った。影響力の大きさから16年4月の憲法改正などにより在外セネガル人にも選挙権が認められ、17年7月の国民議会選挙では、移民を意味する「ディアスポラ」枠が新たに15議席設けられた。セネガル政府によると、在外移民に選挙権が認められたのはアフリカで初めて。

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