[サッカーの惑星]セネガル編(下)モエコ 日本との懸け橋

セネガルの女子サッカーチームでプレーする増田萌子さん(3月13日、ティエスで)=藤基泰寛撮影

◆協力隊・増田さん リーグで活躍

昨年12月、セネガル大統領のマッキ・サルが来日した。ワールドカップ(W杯)ロシア大会の組み合わせ抽選会で、両国がH組で対戦することが決まった直後。大統領は、日本の首相、安倍晋三と代表チームのユニホームを交換し、健闘を誓い合った。

在セネガル日本大使館が設置されたのは1962年で、両国の関係は意外に深い。現地では俳句や柔道の大会なども開かれ、現在は国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員も男女計約60人が派遣されており、中には女子サッカーの選手もいる。ダカールの東隣、ティエスを本拠地とする女子1部リーグの「ティガレス」(フランス語で『雌のトラ』の意)で、「セネガル初の日本人選手」としてプレーする増田萌子(24)だ。

東京都出身。小学3年でサッカーを始め、東海大でプレーした後、2016年9月に赴任した。

協力隊としてはティエスの教育委員会を拠点に、小学生やその教師らに体育指導をしている。その合間に練習に参加するようになり、現地語のウォロフ語を覚え、積極的にコミュニケーションを取ってチームに溶け込んだ。自己主張が強く、練習に遅刻する選手も多い中で、すぐに信頼を得て「プロフェッショナルなモエコの姿勢は、いい影響を与えている」とコーチのアワ・ディオプ(31)は称賛する。

増田は、W杯での対戦が決まったことで、「日本のことをもっと、チームメートらに知ってもらいたい」と強く思うようになった。8月に愛媛県で女子の国際大会が開かれると聞き、ティガレスを参加させようと決意。渡航費確保などでセネガル・サッカー連盟に働きかけるなど奔走する姿に、クラブ会長のアンブローズ・チニ(63)は「違う国の人間同士でも手を取り合っていけることを、モエコが証明しようとしている」と目を細める。

セネガルは初出場だった02年のW杯日韓大会で、静岡県藤枝市で直前キャンプを行い、大分での決勝トーナメント1回戦でスウェーデンを破って8強入りと、日本に良い思い出を持つ。「日本と我々の関係は非常に友好的だ。W杯で対戦することも決して偶然ではない」とスポーツ大臣のマタール・バ。16年ぶりのW杯で、その絆がさらに強くなることを多くのセネガル人が望んでいる。(敬称略)

◇日本によるセネガル支援

外務省公式サイトなどによると、セネガルに対する日本の政府開発援助(ODA)は計約1700億円(2015年度現在)に上る。セネガルで盛んな農業や漁業をさらに発展させ、持続的な経済成長を後押ししようと、稲作技術の指導や水産加工事業などに力を入れている。1980年に始まった青年海外協力隊員などの派遣総数は、1103人(17年12月現在)。

<<
ニュース一覧へ戻る
>>