出番減 気持ち切らさず 浅野拓磨

2017年8月のアジア最終予選、豪州戦で先制点を挙げ、W杯予選突破に貢献した浅野

◇FW 浅野拓磨 23(シュツットガルト)

今年に入り、シュツットガルトで公式戦出場はゼロ。1月下旬の監督交代を機に、起用法は大きく変わった。日本と違うスタイルへの適応に苦しんだり、指揮官次第で出番が減ったりするのは、多くの海外組が経験してきたこと。昨年8月のサッカー・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選、豪州戦で先制点を決めたアタッカーも、そんな壁に直面している。

「焦りはあります。もし日本代表のことがなければ、『コツコツやっていけば』と考えられるけど……」。W杯ロシア大会が近づく中でもどかしさを口にし、「でも、変に慌てたくはない。焦りながらも、自分のペースで一歩一歩やっていきたい」と付け加えた。

いかに自分を保つか――。2016年夏にドイツに渡ってから、ずっと心の持ちようを探ってきた。

7人きょうだいの三男。異国で初めて一人暮らしを経験し、「ホームシックは計画通りだった」と笑うが、「人の目を気にするタイプ」と悩んだのは想定外だった。

武器のスピードは「通用すると自信をつかめた」ものの、それを簡単に発揮できない。「1対1の間合いが緩い日本の感覚でドリブルすると奪われる。一緒に球を追いかけても、重心を押されて前に出られない。日本なら、すぐに入れ替われるのに」。パスを出してくれる味方との呼吸も「細かいニュアンスまで伝えられないし、日本ほど丁寧なパスは来ない文化」だ。

居残りでシュートを打ち、ジムで鍛え、クラブハウスを出るのは最終組。ある日、前監督から「そんなにゴールを求めていない」と言われた。プレッシャーを減らすための配慮でも、「気遣い自体が悔しかった。『シュートを決めてくれ』と求められる方がいい」。

そんな四苦八苦の中、ふと「明らかに、気にしすぎ」と自覚した。「周りの目を気にしてミスしたり、気持ち良くプレーしていない」

少年時代から「全然、駄目だ」「こんなんじゃ、あかん」と独り言を言いながら、ボールを追ってきた。J1広島時代の恩師、森保一・U―21(21歳以下)日本代表監督は「他人と比べず、独り言は、いつも自分自身に向けていた」と、語ったことがある。

本人も、「日本では『自分は自分』『我の強いタイプ』と思っていたけど、まだまだだなぁ」と、かみ締める。心が揺れ、悩みもしたから、「気にしないメンタルが僕には必要」と痛感している。苦境から抜ける道をひらくには、再び自分だけを見つめ、磨くしかない。(青柳庸介)

◇あさの・たくま 三重県出身。四日市中央工高(三重)では、2011年度の全国高校選手権で、2年生ながら7得点を挙げて得点王に輝き、準優勝。J1広島に入り、16年リオデジャネイロ夏季五輪にも出場した。16年夏にイングランド・プレミアリーグのアーセナルへの移籍が決まったが、英国の就労ビザを取得できず、当時は独2部リーグだったシュツットガルトに期限付き移籍した。チームは17年から1部昇格。1メートル73、71キロ。日本代表17試合出場3得点。

<<
ニュース一覧へ戻る
>>