[サッカーの惑星]ポーランド編(下)「西側」に挑み 若手開花

クラクフに飾られた巨大看板。ポーランドでは、至る所でレバンドフスキを目にする

◆世界10位 古豪復活へ

ワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本と対戦するポーランドは現在、世界ランキング10位につける。2016年欧州選手権では予選でドイツを破り、本大会でも8強と躍進。W杯欧州予選でもE組を1位通過し、ランクも急上昇して昨年8月には5位に達した。それは、1989年の「ベルリンの壁」崩壊に始まる長い低迷期から、30年近くを経て、ようやく脱したことを示している。

冷戦終結による混乱は旧共産圏のポーランド・サッカー界にも大きな影響をもたらした。軍隊や警察、炭鉱や造船など元々は国営の大企業に支えられていた強豪クラブの多くが、経営難に陥った。

それまで海外移籍を制限されていた選手にとっては、西側に活躍の場を求めるチャンスでもあった。しかし、簡単にうまくはいかなかった。「共産主義時代は『立っていても、座っていても2000ズロチ(約6万円)』といわれた。働かなくても生活できる時代遅れの気質が邪魔をしたのだと思う」。記者歴45年のステファン・シチェプウェック(69)は肩をすくめる。

その中でも再起への歩みは少しずつ進んでいた。ナイジェリアから帰化したFWエマヌエル・オリサデベの活躍で2002年W杯日韓大会で16年ぶりの本大会出場。4年後のドイツ大会も2大会連続のグループリーグ敗退に終わったが、12年にはウクライナとの共催で欧州選手権の開催国にもなった。その流れで育ってきたのが、1988年生まれで現在の代表のエースFW、ロベルト・レバンドフスキ(29)(バイエルン・ミュンヘン)だった。

初めてプロ契約を結んだという16歳の頃から意志の強さが印象的だったと、彼を知る指導者は語る。2006~08年に所属したズニチュ・プルシュクフで代表を務めるシルビウシュ・オルリンスキ(53)=写真=は「ロシアからの誘いを断り、まず国内の強豪へ移籍した。一足飛びより、着実に成長する道を選ぶのが彼らしかった」。代表でも実績を積んで10年にドイツへ渡り、世界的なストライカーへと開花した。

「資本主義しか知らない世代」(シチェプウェック)となった代表の同僚も、ユベントス(イタリア)や独ドルトムントなどの強豪に所属する選手が中心になった。

同国サッカー協会副会長のマレク・コジミンスキ(47)は「国内1部リーグは、主要国の2部レベル。経済力の差を埋めるのは難しいが、若いうちに国外に出て力をつけた選手が、代表のレベルを高めてくれる」と期待する。W杯3位を2度の古豪は、ロシア大会で復活をうたい上げるだけの地力を取り戻している。(敬称略)(ポーランド編は、風間徹也が担当しました)

 

◆ポーランドリーグ

1927年から始まり、現在の1部リーグは16チームで実施。強豪のレギア・ワルシャワは69~70年シーズン、欧州チャンピオンズリーグ(CL)の前身大会で4強入り、95~96年もCL8強となったが、近年は出場にも苦しむ。欧州サッカー連盟の2016年報告書によると、1部リーグのクラブ平均収入は780万ユーロ(約9億5000万円)で欧州20番目。日本人は森岡亮太(アンデルレヒト)がウロツワフ、松井大輔(横浜C)がオドラ・オポーレなどでプレーした。

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