[サッカーW杯20年](上)「代表監督は日本人がやるべき」~岡田武史

サッカーW杯への思いを語る岡田武史・元日本代表監督=西孝高撮影

◆世界知る指導者 出てくる 98年 カズの出番浮かばず

サッカー日本代表が1998年にフランスで行われたワールドカップ(W杯)に初出場してから、今年で20年。6大会連続6度目の出場となるロシア大会を前に、これまでの強化を振り返り、日本代表の現状や課題を探る。初めに、98年大会と2010年南アフリカ大会で日本代表の指揮を執り、W杯を経験したただ一人の日本人監督、岡田武史氏(61)に話を聞いた。(軍地哲雄、星聡)

「海外の知り合いには、欧州でも100年かかったのに、なぜ日本はこんな短期的に伸びてきたのかと聞かれる。『次の選手が出てきていない』と言われるけど、バルセロナ(スペイン)で最初に久保(建英(たけふさ)=現F東京、16歳)を見た時は、衝撃を受けた。今欧州でプレーしている若手は、うまいだけじゃなくて戦える。(98年)当時はヒデ(中田英寿)ぐらいしかいなかった」

「フランス大会の時、バティストゥータやベロン(ともにアルゼンチン)など、テレビでしか見たことがない選手と戦った。今は欧州でそんな相手といつも対戦している。香川(真司=ドルトムント)は『W杯に出ていない日本を知らない』と。新しい経験を持った人間が国の力を上げる」

「僕は試合に臨む前に、負傷や退場など、あらゆるシミュレーションをする。10年南ア大会で矢野貴章(新潟)を選んだのは、1点リードして逃げ切りたい時に、セットプレーでのヘディングが強くて、前から追い回せる選手が欲しかったから。初戦のカメルーン戦で(実際に)そういう状況になった。98年は(出場させる場面が)出てこなかったのがカズ(三浦知良、現横浜C)と北沢(豪)。2回目に(代表)監督をやった頃の経験があれば、出場以外の価値を認めたかもしれないが、あの時は41歳。仕方がない判断だった」

「自分の方がいい、勝てると色気が出るのが怖いから、(最近になって)監督資格は返上した。日本代表監督は日本人がやるべきだ。最終的に外国人を選ぶにしても、日本人や日本の文化をリスペクトできる人。日本人指導者にも、選手としてW杯を経験して指導者として世界を経験する若い人間が、これからどんどん出てくる。(J1リーグ優勝など)実績を残している人にチャンスをあげればいい」

「日本代表を巡る今の議論は、攻撃的とか守備的とか、あまりにも表面を見過ぎている。戦術論よりもっと大事なのは、日本サッカーがどういう戦略をとっていくか。今までは順調だったが、同じ道では欧州に絶対に追いつけない。これからは選手育成から日本独自の『ジャパニーズウェー』に向かわなきゃいけない時期だ」

「FC今治では、プレーの原則を16歳までに身につけさせる『岡田メソッド』をつくってテストしている。攻撃の原則、守備の原則、サポートの原則。日本の指導はハウツーを教えていたけど、応用がきかなかった。岡田メソッドでは、原則で判断させ、後は自由にさせる。これが正しいかどうか分からない。でも人に言う前に自分でやったらどうだと。一つのチームから5人の代表選手を出せば、代表のサッカーは変わる。バイエルン・ミュンヘン(独)も、バルセロナもそう。FC今治でもできるところを見せたい」

 

◇おかだ・たけし 大阪市出身。早大―古河電工でプレー。1994年に日本代表コーチとなり、97年に監督昇格。札幌、横浜Mの監督を経て、07年に再び日本代表監督に就任。10年W杯南アフリカ大会ではベスト16に進出した。杭州緑城(中国)監督を経て、現在は日本フットボールリーグ・FC今治会長。今年3月まで日本サッカー協会の副会長も務めた。

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